歳時記「くらしのうた」は「市政カレンダー」の特集として掲載したものを紹介しています。
1月
成り申そう
成り申そう 成り申そう 千百俵
成るか成んないか 成らぬと 切るぞ
成るべしとおっしゃれ
高いとこ成ると カラスがもぐぞ
低いとこ成ると 子どもがもぐぞ
中とこ成れ 中とこ成れ
※1月15日の朝早く、子どもたちが豊作を願い、家のまわりの柿や栗など実のなる木を棒でたたきながら歌いました。たたき終わったところには小豆粥を付けて歩きます。
2月
福はうち、鬼はそと
福はうち
鬼はそと
※節分(3日)に豆をまきながら歌います。このとき、豆を自分の年だけ拾って食べると風邪をひかないといわれます。また、この日は旧暦の年越しともいわれ、年越しそばを食べました。
3月
つばな
つんばな つんばな
鼻一巻いて 目一巻いて
耳巻いて 食いましょう
※御殿場では、草原や土手に群生するチガヤ(イネ科)の白い花穂をツバナ、ツンバナと呼びます。花穂と地下茎には甘みがあり、子どもたちはこれを摘み採り、食べながら歌いました。
4月
代掻き囃子
高いは山だぞ 低いは谷だぞ
しっかりそれおせ しっかりそれおせ
城山おしだせば 諸久保は根こぎだ
しっかりそれおせ しっかりそれおせ
中とこ成れ 中とこ成れ
※代掻きは田の水もれを防ぎ、苗の活着や発育をよくするため、田植えの2,3日前に行います。田に水を満たし、馬鍬(まんがともいう)で土塊を砕いて平らにしながら歌っていました。
5月
茶摘み唄・茶揉み唄
お茶のでんぐりもみゃ小腕が痛む
もませたくないわがつまに
お茶師ころすにゃ刃物はいらむ
雨の十日もふればよい
※昔、御殿場ではお茶が盛んに栽培されていました。茶摘みや茶揉みの作業をしながらこの歌を歌っていました。
6月
田植え唄
朝起きて
髪結いあげて 苗取れば
苗取れば
こだまの露で 袖ぬらす
東から
雲かき分けて 出づる日は
出づる日は
西へはやらで ここ照らせ
※現在は、5月に田植えを行いますが、昔は茶摘みの終わった6月ごろ田植えを行っていました。たろうじ(畔で苗の段取りをする人)が、早乙女(田植えの作業をしてくれる人)を励ますため1日中歌っていました。
7月
盆唄
盆が来たそうで
製糸場の庭で
下駄や雪駄の音がする
※御殿場のお盆は、7月23日の夕方から26日の朝まで行われています。この時期は、田畑の耕作もすべて終わり、春・夏・晩秋と年三回行っていた養蚕の合間の一段落したころです。
8月
ほうずき
ほうずき ほうずき
根も出ろ 種子も出ろ
尻も口もやぶけるな
ギュー ギュー
※子どもたちは、ほうずきの実の中の種を取り出し、競い合って笛のように鳴らします。子どもの遊び歌です。
9月
お月さんいくつ
お月さんいくつ
十三七つ まだ年ぁ若いな
ねんねを生んで
だあれにだかしょ おまんにだかしょ
おまんにだかして
油買いにやったらば
油屋の前で
すべってころんで 油一升こぼした
※十五夜(芋名月)には、月見団子、さつま芋、里芋、枝豆、果物などを供えます。十五夜と10月の十三夜(栗名月)は、必ず両方祝います。
10月
唐臼挽き唄
ことしゃ豊年穂に穂が咲いて
枡はいらない 箕ではかる
お富士お山へ振り袖着せて
奈良の大仏婿にとる
※脱穀した米のもみ殻をむくために、日暮れから夜の12時ごろまで唐臼を回しながら歌いました。一晩にすれる量は、3人がかりで4俵ぐらいだったそうです。
11月
馬子唄
可愛いおばくろさんは
どこで夜があけた
三十三坂峠の茶屋で
千両とるとも馬方よしな
馬の手綱で日を暮らす
※昔、魚や塩などの荷物を沼津・三島方面から山梨県へ運ぶ途中、御殿場で荷物の積み替えなどを行っていました。御殿場は宿場として栄え、馬をひく人たちがこの歌を歌っていました。
12月
かや刈りの唄
かや刈り かや野の かやの穂に
きらきら 冷たい朝月夜
かや刈り お馬も 寒かろうと
馬に たく火も かやの原
※朝早く印野山や大野原に出掛け、屋根葺き用のかやを刈りながら歌いました。毎年、12月ごろの寒い時期に行っていました。