御殿場市

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市長所信表明

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    10月初旬に行われました市長選挙から、早や2か月が経とうとしておりますが、今は改めまして、市民の皆様の熱い期待と、市長に課せられました使命の大きさや、責任の重さを痛感しているところでございます。皆様からの信頼とご期待にお応えするため、決意を新たにし、市政に全身全霊を捧げてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

    今回の選挙を持ちまして、市長の任期は10月3日からとなりました。これまでの任期は2月からであったため、当選直後の所信表明は、新年度の施策について述べる市長施政方針を兼ねておりました。市長の所信表明として議会で述べさせていただくのは、今回が御殿場市政発足以来、初めてのこととなります。

    次年度の当初予算の概要や実施する具体的な施策は、来年3月定例会の市長施政方針で述べさせていただきますので、本日は私のこれからの市政運営に対する基本姿勢、基本方針を述べさせていただきます。御殿場市の更なる発展に向けて、「市民の命と暮らし」を守り、「御殿場らしいまちづくり」を目指す、新しい勝又市政に対し、皆様の特段のご理解とご協力を賜ることができれば、大変ありがたく思います。

    まず、冒頭において、誠に恐縮ではございますが、この度の川勝知事の発言に関しまして、私の意を述べさせていただきます。
    川勝知事の発言に関しては、多くの市民の皆様が心を傷つけられ、不快な思いをされたと思います。今もなお、その思いは、完全には消えていないと思います。その思いは、今も私の所に届いております。最終的には、知事から御殿場市民、御殿場市、また市議会に対して、公式の場において、発言に対する謝罪と撤回がされました。
     このことに対して、市長として、もちろん御殿場市に対する知事の発言は重く、また一方で、公の場での知事の謝罪・撤回も重いものと真摯に受け止めました。

    大事なことは、今回の事を一つの契機として、御殿場市がこれから益々発展し、日本一の素晴らしいまちを目指していくことだと思います。世界に誇れる富士の麓、御殿場市は豊かな自然を始め、交通の利便性も良く、多くの観光資源に恵まれたまちです。
    住みよさランキングも断トツの県下第一位、観光交流客数も県下第二位、またお達者度、財政力など、あらゆる指標において、県下でトップクラスの素晴らしいまちです。市民の皆様には、こうした御殿場市の力、将来性をぜひ認識していただき、郷土に誇りをもって、これからの御殿場市のまちづくりに一緒になって、ご協力いただければ幸いです。
    冒頭に、まずこのことを申し上げ、所信を表明させていただきます。

    現在、私たちを取り巻く社会環境は、日々目まぐるしく変化しております。超高齢化社会の到来や人口減少問題、DX(デジタルトランスフォーメーション)やSociety5.0といった高度デジタル社会への対応、カーボンニュートラルに代表されるSDGsの考えに基づいた環境政策、近年の激甚化する自然災害への備えなど多種多様な行政課題が山積しております。
    そして何より喫緊の課題は、新型コロナウイルスの脅威です。昨年から世界規模で蔓延しているこのウイルスは、世界の人々の命や健康を脅かすだけでなく、経済危機をもたらすと同時に、社会構造の根底を揺るがす事態に発展しました。もちろん我が御殿場市も例外ではございません。ワクチン接種の進展や治療薬の開発など、明るい兆しは確実に見えてまいりましたが、未だ収束への目途が立っているとは言えない状況です。今、世界各国に広がり、懸念が強まっている「オミクロン変異株」も大変心配なところです。

    これまで医師会や歯科医師会、薬剤師会など医療従事者の皆様の最前線における献身的なご尽力には、本当に頭が下がる思いでございます。お陰様をもちまして、ワクチン接種を希望された市民に対する接種は無事に完了いたしました。
    また、市民の皆様や事業所の皆様、地域、団体の皆様におかれましても、本市の感染防止対策に大変ご協力いただいております。マスクや防護服、医療用手袋、消毒液など多種多様な医療物資のご寄附もたくさんいただきました。度重なる時短要請や店舗での感染防止対策にもご協力いただきました。公共施設の利用制限やイベントの延期・規模縮小など大変不自由な思いをさせてしまいました。ここまでの皆様のご理解とご協力に改めて御礼を申し上げます。

    先の見えないコロナ禍にあって、新型コロナウイルスの感染防止対策と、大きく疲弊した地域経済を立て直すことは、私が最優先に取り組む待ったなしの課題であります。
    感染防止対策では、手洗い、うがいの徹底やマスク着用、三密の回避など「新しい生活様式」を実践していただきますよう、引き続き市民の皆様にお願いさせていただきます。それに加え、3回目のワクチン接種におきましても、市民の皆様が安心して接種できる予約体制や接種環境を整えるとともに、病床や待機場所の確保など、医師会などの関係機関と、更なる連携強化を図ります。同時に市民がコロナ前の生活に少しでも早く戻れるよう、コロナの感染状況を見ながら、徐々に制限の緩和を行うとともに、健康で豊かな市民生活と、地域経済が順調に回る取り組みを段階的に進め、コロナ前を上回る、活気のある御殿場を取り戻すために、全力で取り組んでまいります。
    いずれにいたしましても、市民の皆様の命と暮らしを守ることは私に課せられました最優先の責務であり、自分の歩みで御殿場らしいまちづくりを全力で行ってまいります。

    続きまして、「ウイズコロナ」「アフターコロナ」の時代を見据えた中、私がこれから進める4年間の市政の方針を「市民とともに歩む情のある御殿場」とし、私の新たな政策を5つの重要施策に体系化いたしましたので、これに沿って述べさせていただきます。

    まず1つ目は「御殿場型経済・観光活性化」です。
    コロナ禍で冷え切った市内経済の活性化は待ったなしの状況です。経済対策や公共事業、生活者支援を積極的に進めてまいります。
    就任早々から着手している第三弾プレミアム付き商品券など消費を促す対策を始めとして、中小企業等応援金事業や経済対策助成事業など、中小事業者に対する支援も積極的に行います。東京2020オリンピック・パラリンピック大会のレガシーを活かしたサイクルツーリズムの推進、自転車イベントの誘致や開催、空手の聖地としてのまちづくりやホストタウンのレガシーとしての国際交流を推進します。また、御殿場プレミアム・アウトレットや御殿場高原時之栖などの大型誘客施設と連携した、観光客のビッグデータを活用した市内回遊施策の実施、年間1400万人の交流人口、交通アクセスや自然環境の良さを生かした、御殿場型の経済・観光活性化を強力に進めます。
    皆様ご承知のとおり、本市は富士山麓と箱根山系に囲まれた緑豊かな高原都市であり、豊かな森林やさわやかな薫風、そして何より清らかな水が本市に様々な恵みをもたらしてくれます。御殿場の強みを生かした新たな御殿場ブランドの創出、富士山と素晴らしい自然環境を生かした、本市の更なる飛躍にふさわしい、コロナ前を上回る交流人口の増加を目指した、御殿場ならではの施策を積極的に展開してまいります。

    2つ目は「子育て支援の充実」です。
    これまで本市は、先進的な子育て支援策を、他のどの自治体よりも早く、手厚く進めてまいりました。その取り組みが功を奏し、合計特殊出生率が昨年県内第3位となるとともに、連続して前回を大幅に上回る快挙を達成いたしました。
    この流れを止めることなく、「真の子育て支援日本一」を引き続きスローガンに掲げ、継続した合計特殊出生率の上昇を目標といたします。
    そこで、長期のV字回復を目指した取り組みを重要施策と位置づけ、公立と私立のバランスを考慮しながら、民間活力を最大限に活用し、保育園の3歳未満児の受け入れ枠の拡大と、待機児童の実質ゼロを確実に実現してまいります。また、学童保育の更なる充実、ひとり親世帯と子どものいる低所得者への手厚い支援にも着手し、子育て世代にやさしい、御殿場ならではの施策を一層充実させてまいります。
    そして、未来を担う若者の意見を積極的に取り入れ、子育て世代や若者が住みやすい住環境の整備、就労の場の確保、企業とのマッチング推進など、Uターン就職しやすい雇用環境の更なる充実を図るとともに、手厚い婚活の支援等を行い、定住人口の増加を図ってまいります。

    3つ目は「御殿場らしい人づくり」です。
    私が目指すまちづくりは「みくりやの風土を愛し、御殿場らしい人づくり、まちづくり」「未来の宝である子ども達が、すくすく育ち、お年寄りと触れ合いながら、故郷を想い、誇りに思えるまちづくり」であります。
    御殿場市「富士山のように大きな心を持った人づくり」大綱でも、まちづくり、地域づくりの礎としての「人づくり」を基本理念としており、住みよいまちづくりのためには、人づくりは欠かせません。
    あらゆる学習の場において、また、社会活動やスポーツを通じて、すべての市民が、心身ともに健全で、人の痛みがわかり、誰にでも平等でやさしく、他人への思いやりがあり、情のもてる人間に育ってくれることが私の夢です。そのためにも、まずは「市民を想える職員」を育成します。
    誰一人取り残すことのない学びの実現に向け、教育振興基本計画に則り、富士の麓に相応しい雄大な心を育む生涯学習の推進と、世代間の交流、男女共同参画の推進を図ってまいります。
    また、本市は正規職員の臨床心理士がいる全国でも数少ない自治体であり、次年度に、更に臨床心理士を追加採用することで、子ども達の健やかな成長を促す環境を整えてまいります。
    人間性豊かな情操教育を通じ、御殿場で育った子どもたちが世の中に出て、人の役に立つこと、自分たちを育ててくれた御殿場に感謝し、御殿場を誇りに思ってくれることが、私の市長としての最大の目標でもあります。

    4つ目は「環境政策とSDGs推進」です。
    県内で初めてゼロカーボンシティ宣言を行い、すべての小中学校に再生可能エネルギーを供給するなど、いち早く環境施策に取り組んできた本市は、更なる高みを目指した環境先進都市の実現に邁進してまいります。
    本市には県内に4か所しかない水素ステーションが、すでに東部で唯一設置されており、電気自動車充電スタンドについても、市で把握している範囲だけで28か所ございます。この環境を活かし、水素社会の構築や、電気自動車の利用促進、再生可能エネルギーの創出、トヨタ自動車の未来都市との連携のほか、プラスチックごみや食品ロスの削減など、市民や関係団体とともに、オール御殿場で進めてまいります。
    本市から提案し、富士山ナンバーを掲げる自治体とともに、富士の麓のチーム富士山として環境宣言を行い、環境先進地域の地球温暖化に対する先進的な取り組みを世界に発信し、その象徴として環境省の誘致を目指してまいります。
    また、誰一人取り残さない持続可能な社会を目指し、高校生を始めとする若者世代と連携したSDGsを推進してまいります。
    更に、高齢者の移動手段の確保や、様々な福祉関係のご相談に対する総合案内窓口としまして「福祉総合案内窓口」を設置するなど、様々な課題で不安な方に寄り添い、しっかりとサポートできる行政を推進してまいります。
    市役所自らが、すべての施策において、誰にでもわかりやすい言葉、手続き、案内、市民にやさしい情のある対応を始めとする、御殿場型NPMを手本とした、御殿場ならではのSDGs実現に努めてまいります。

    5つ目は、「御殿場型デジタル推進」です。
    市民に便利な行政手続きのデジタル化、ワンストップ化に向けて、まずは現在40%を超えたマイナンバーカードの普及率を更に飛躍的に高めます。
    新たな施策としまして、健康ポイントやエコポイント、シルバーポイント、アンケートポイントなど、様々な社会要請に応じたポイント制度を導入します。これをマイナンバーカードで管理し、市内の店舗で使えるポイントや商品券などに還元するなど、御殿場ならではの経済と社会が好循環する仕組みについて、マイナンバーカードをベースに構築してまいります。
    更に、スマートフォンによる決済の普及や、デジタル化に対応できない方のための相談窓口を設置し、世界的な高度デジタル化社会に対応できる仕組みを積極的に構築してまいります。
    これらを強力に推進するため、令和4年度から庁内にデジタル推進室を設置し、専門部署による先進的な取り組みをできるところから早急に進めてまいります。
    そして令和5年度を目途に、迅速で効率的かつ連携をとりやすい組織を目指し、大規模な組織改編も行ってまいります。

    以上、これからの市政運営について、私の目指す方向、基本的な考え方について述べさせていただきました。いずれの重要施策も行政だけでできるものではなく、市議会の皆様、市内の事業所の皆様、地域や各種団体の皆様、学校や福祉施設の皆様、そして老若男女すべての市民の皆様と一体となって、オール御殿場で進めていかなくてはなりません。
    子どもたちに誇れる御殿場、子どもたちが誇る御殿場を実現するために、私も誠心誠意尽くしてまいりますので、引き続きのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。

令和3年11月29日

御殿場市長 勝又正美