令和5年御殿場市議会3月定例会において、令和5年度各会計予算並びに各議案のご審議をお願いするにあたり、予算編成方針並びに施策の大要をご説明申し上げ、議員各位をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
施政方針の冒頭に、まず今回の予算編成にあたっての私の強い思い、決意を申し上げます。
私の市長としての最大の使命は、一言で言いますと、厳しい自治体間競争を勝ち抜いていくためにも、貪欲に出来る限りの財源、歳入をしっかり確保し、市民の皆様にご満足いただけるサービスを提供することだと思っております。その大前提となるものが強固な財政基盤、健全財政の維持です。
今回の予算編成は、ただ今申し上げた事をしっかり見通し、確立した中での予算案であることをまず誓います。
そして、近隣の自治体で発生し、全国的な課題となっている盛土の問題や、保育施設における不適切な事案、子どもの貧困問題など、今、現実に起きているこれまでの想定を超えた課題にしっかり対応し、市民の皆様の命と財産を守るための危機管理を強固にしていくとともに「男女共同参画都市宣言」や「SDGs未来都市」に恥じることのない「誰一人取り残さない」社会の実現に、全力で取り組みます事を冒頭にお約束いたします。
ここで、昨年を少し振り返って見ますと、令和4年度は私が市長に就任し、掲げた「市民とともに歩む情のある御殿場」「御殿場らしい人づくり、まちづくり」を目指し、市長として初めて当初予算を編成した年でありました。
ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー問題、急激な物価高、円安など、目まぐるしく変化する国際情勢を起因とする不安定な経済・社会情勢が続きました。
また、残念ながら新型コロナウイルスは未だ収束に至らず、日本で新型コロナウイルスが確認されてから、早や3年が経ちました。感染拡大は人々の健康や生命を脅かすとともに、社会や経済に今もなお甚大な影響を与え、人々の生活や意識、価値観、子どもたちの心の成長にまで波及するなど、新しい社会態様への対応が求められております。
私は就任当初から、新型コロナウイルス対策を待ったなしの施策として掲げました。市民の命と暮らしを守ることを最優先に、医師会の皆様の多大なるご協力の下、ワクチン接種体制の一気の充実、妊婦や高校生への優先接種、職域接種の拡大を図りました。また、市民から要望の高かった、感染リスクが心配される方への待避所設置やワクチン接種相談窓口の開設、日曜祝日や年末年始の発熱外来の開設、さらには各種団体への検査キットの無料配布など、本市独自の先進的な施策を実施してまいりました。同時に、もう一つの待ったなしの施策であります経済対策では、事業所の改修等に対する経済対策助成事業の拡大、時短・休業要請の影響を受けた中小企業等への応援金事業などを実施しました。好評をいただいておりますプレミアム付商品券につきましては、県内でも例のない規模となる第5弾まで実施し、さらに市内経済の起爆剤として、県下でも先駆けとなるデジタル地域通貨「富士山Gコイン」を新たに導入しました。
また昨年は、私が目指す「市民とともに歩む情のある御殿場」「御殿場らしい人づくり、まちづくり」の実現に向け、様々な宣言やまちづくりの後押しとなる認定を受けた年でもありました。
ウイズコロナのスタートとして、御殿場市男女共同参画の生き生き都市宣言を行いました。「大切なのは、これからのこと」を掲げ、子どもからお年寄りまで、誰もがその個性と能力を発揮できる社会の実現と、明るく生き生きと暮らせるまちづくりを始動させました。
そして、本市の環境に特化したまちづくりの取組が評価され、5度目の挑戦で念願であった「SDGs未来都市」をついに勝ち取りました。本市の特色である国立駿河療養所における「誰一人取り残さない」取組や、市役所すべての業務をSDGsの観点から見直したこと、産官学金のステークホルダーとの連携体制を強くうたった事が高く評価を受けたものでございます。今後も「誰もが輝ける 富士の麓の環境を守り育てるまち 御殿場」として経済・社会・環境の新しい価値創出を通し、目に見える形で積極的に展開してまいります。
さらに、森林や里山を守り、木の温もりに触れ、学び、美しい自然環境を後世に引き継いでいくとともに、地域の木材の積極的な活用を図る「木育宣言」を行いました。小学生、高校生の提案により、このたび出来上がったロゴマークと「ごてんばっ木」の愛称を活かした御殿場産木材のブランド化を目指し、市内の木材産業発展の基盤を作ってまいります。木製おもちゃ館の建設など木の温もりを感じるまちづくりや、官民一体となった里山づくりに貢献する施策を展開し、本市の地域振興、経済・観光発展につなげてまいります。
またスポーツのまちづくりでは、東京2020大会のレガシーとしてスポーツを通して特色のあるまちづくりを行う、全国で20の自治体しか選出されない「スポーツ・健康まちづくり優良自治体」を受賞いたしました。この受賞は県内唯一となる2年連続の受賞であり、さらにスポーツ庁長官が訪れる全国唯一の自治体にも選ばれる栄誉となりました。官民一体となり、オリンピックの感動をそのまま引き継いだ「スポーツタウン御殿場」の取組が評価されたことを大変嬉しく、誇りに思います。スポーツイベントを象徴する昨年の静岡県市町対抗駅伝でも、監督やコーチ、スタッフの献身的なサポートと、市民の期待を一身に背負った選手の懸命な走りにより、チーム一丸となって見事第3位入賞を果たしました。市民の心が一つとなり、スポーツを通して得た感動や興奮は、本当にまちを元気にしてくれました。
そして、先月2市1町で共同発表した「富士山東麓エコガーデンシティ地域循環共生圏」が、静岡県内の先行モデルとして第1号の認定を受けることができました。補助金の獲得、土地利用の効率的な活用が図られる事はもとより、厳しい自治体間競争の中で、選ばれるまち、市民が誇りに思えるまちの実現が大いに期待されます。環境と経済の両立、脱炭素社会・SDGsの実現、デジタル技術を活用した社会課題の解決を図り、富士山麓の豊かな自然環境を守り、育て、磨き、環境と社会経済が好循環するまちを実現することで、間違いなく本市だけでなく、富士山麓地域全体の発展につながるものと確信しております。
本市のこれからのまちづくりの全てが網羅されているといっても過言ではない「富士山東麓エコガーデンシティ地域循環共生圏」に、私は全身全霊で取り組む所存でございます。
また、昨年も多くの市民の皆様と直接お話をさせていただく機会を積極的に設けることができ、特に小・中学生、高校生といった若い皆さんと未来の御殿場について語り合い、多様なご提案や多くの行事に参加していただいた一年でした。
先月「御殿場応援大使」として任命した、本市出身のインフルエンサー「なえなの」さんから「大好きな御殿場を盛り上げたい。富士山の見えるスポットや美味しい食べ物を発信したい」と頼もしい言葉をいただきました。若者に絶大な人気を誇る「なえなの」さんの発信力で、御殿場の魅力が必ずや全国の若者の心に届くものと、大きな期待をしているところです。
また、未来を担う小中学校、高校の児童・生徒の皆様の発想は本当に素晴らしく、地域のことを真剣に考え、若者ならではの視点でいただいたご提案には、すぐに施策に反映できる素晴らしいものがたくさんございました。
こうした若者の取組や活躍を大変嬉しく思い、温かい気持ちで受け止めるとともに、前向きに施策に取り入れ、若者の活動を応援してまいります。
スポーツや文化の面におきましては、全国高校総体において空手女子団体組手で史上初の4連覇という偉業を成し遂げた、御殿場西高等学校空手道部など、全国を舞台に活躍する市民の皆様が、数多く表敬訪問してくださる機会は、何より私にとって誇りであり、勇気と元気をいただくことができた一年だったと感じております。
本年は、富士山の世界文化遺産登録10周年を迎えます。そして日本、中国、韓国の3か国において、文化芸術の発展を目指す「東アジア文化都市」に静岡県が選ばれ、始動する年でもあります。この好機に、本市の文化芸術やスポーツ、食、自然環境を世界に発信するとともに、空手を活用した武道ツーリズムの推進により、輝かしい武道の聖地を目指して頑張ってまいります。
さて、次に令和5年度の市政に対する私の基本方針及び重要施策について申し上げます。
私の施政の基本方針は「市民とともに歩む情のある御殿場」「御殿場らしい人づくり、まちづくり」でございます。令和5年度は前年に示した方針や宣言を具現化し、はっきりと目に見える形で展開し「うさぎ年」らしく大きく跳躍する年にしてまいります。
本年は「富士山東麓エコガーデンシティ地域循環共生圏」の実現や「SDGs未来都市」の確実な推進に向け、「環境に特化したまちづくり」「経済・観光戦略」「スポーツによるまちづくり」「DXの推進」の4つをキーワードに各種施策を展開してまいります。
また、令和5年10月8日を「ごてんばの日」と位置付け、コロナ禍を打破する節目の年として、様々なイベントを開催し、本市の魅力発信と経済・観光の活性化に努め、ウイズコロナの時代を力強く成長させてまいります。
これらを実現するための具体的な施策として、「御殿場型経済・観光活性化」「子育て支援の充実」「御殿場らしい人づくり」「環境政策とSDGs推進」「御殿場型デジタル推進」の5本の柱を重要施策として位置付けます。
そして、施策実行に必要な政策的・戦略的な推進力強化と、庁内横断的な連携の強化を目的に、組織の効率化や戦略監制度の拡大、各種行政課題に柔軟に対応できる、市民にとって分かりやすく、利用しやすい組織にするための改編を行い、職員と一丸となって全力で責任を持って施政を展開していく所存であります。
御殿場型NPMの根本である「市民を想う気持ち」すなわち「市民はお客様」を常に職員みんなが頭に置き、市民の皆様と心を一つに笑顔あふれる御殿場を実現します。「御殿場らしい人づくり、まちづくり」が本格的に始動し、数多くの明るい話題を市民の皆様に提供できると思いますので、ご期待いただければと思います。
令和5年2月21日 御殿場市長 勝又正美
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